そこにあるもの

ロマの生活は身体も魂も生活用品も全てを背中に乗っけて移動する。
そこにはいつもジプシー音楽があり
明るく悲しく力強いララバイを子供に聞かす。
虐げられた辛い歴史を歌う。
子供は皆とてもじょうずにマネをして覚えていく。
そうして何代にも歌い継がれ
その振動、波動は背負ってきた全ての重みを持って響く。
砂漠の砂つぶひとつひとつのように風にサラサラと舞い
時代を超えて人々の心に届く。
歴史に埋もれることなく根無草はどこまでも深く力強く根を張る。
人は皆、旅人であり、いにしえの記憶が呼び起こされる。
哀愁のメロディは未来への希望でもある。